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脳が記憶するとき~LTPとは何か~

4月 29th, 2009

最近会社で、ネットサーフィンしているとき、人間はどのように考えているを議論し、新しいブラウザはこういう機能があるべきだ、そもそもタブじゃない、などとわいわいやりました。

私も、以前から「人間が情報を蓄積させるのに最も適したシステムは何か?どういったものか?」という問いを命題として考えており、データの視覚化や、脳の記憶などのアプローチから、ほそぼそと調べています。

そこで、「脳の情報表現―ニューロン・ネットワーク・数理モデル」という本を読もうとしたのですが、いかんせんむずい!3ページくらいで挫折しましたf^^; 意味不明な用語のオンパレード。
脳神経専攻の友人に泣きついたところ、池谷祐二さんを読めと言われました。名前を聞いたことがあって、探したらご本人のサイトがかなり充実していたので、ちょくちょく読みはじめました。

今回は、記憶の最も基礎的なページをまとめます。もちろん素人のまとめなので誤解も含まれているかもしれません。おかしい!と思ったらコメントいただけると幸いです。また、脳に興味がない方は飛ばしてくださいw

» 脳が記憶するとき~LTPとは何か~

※LTP(Long-Term Potentiation):長期増強

脳の可塑性

PCと同じように、脳にも0と1の状態が存在する。
つまり、1は記憶している状態(R)といえ、0は記憶していない状態(NR)と言える。
脳は、あるきっかけ(発火)を境に、NRからRに変化する。
これを、「脳の可塑性」と呼ぶ。(可塑性:個体に外力を加えて弾性限界を越えた変形を与えた時、外力を取り去っても歪がそのまま残る現象 by 広辞苑(岩波書店))

fig1

このように、記憶の状態変化があるからには、脳の記憶を司る神経細胞にも変化が生じているはずだ。
池谷さんは下記の3つの仮説を挙げ、神経細胞の数は増えることがない、シナプスの発芽には通常数時間から数日かかることから、シナプス可塑性が最も有力だとしている。

fig3

  1. 神経の増殖
    神経細胞自体が増える
  2. 発芽
    神経細胞のつながりが増える
  3. シナプス可塑性
    神経のつながりが強くなる

ヘブの法則

シナプス可塑性が記憶に関係するなら、以下の3つの性質を脳は有するという考え方は、ヘブの法則と呼ばれている。

fig4

  1. 入力特異性
    渡された信号に関係のないシナプスは影響されない。
     例: ある英単語を覚えようとして、全く関係ない日本語を覚えることはない。 
  2. 協力性
    ある一定以上の信号が来たときだけ、シナプス可塑性が生じる。記憶のしきい値。
     例: 記憶しようとしない限り、あるいは印象深い事柄ではない限り、記憶に残らない。
  3. 連合性
    一つの神経細胞に伝達される信号がしきい値に満たなくとも、関連するシナプスから刺激を受けるとシナプス可塑性が起きる。
      例: 語呂あわせ。

LTP

ある信号に対する神経細胞の反応が、長期に渡り大きくなる現象をLTPと呼ぶ。(発火とも言う?)
LTPはヘブの法則と満たす上に、海馬で観察され、さらに動物の記憶力と正の相関を示すため、記憶と深く関係すると言われている。
LTPの起きない動物を生み、観察したところ記憶力が劣っていたという報告が出た。また、LTPの形成を阻害する薬も発見されている。
LTPは多くの研究者によって、記憶の基礎メカニズムであると期待されている。 

LTPは下記の状況で生じることが観察されている。

  1. 神経伝達物質の放出増大
    神経細胞間で伝達されるグルタミン酸が増える。→神経細胞間の伝達効率がよくなる。抵抗が小さくなるイメージ。
  2. 感受性の増大
    神経伝達物質の放出量は変わらないが、受け取る方の神経細胞が、より多くの物質を受け取るようになる。神経細胞自体が変化する。

この2つの機構が、共に関与していると考えられている。

まとめ

巷で騒がれている記憶術の裏付け、という感じですね。
生活で使える情報ではないですが、勉強している際に、脳のシナプス可塑性が起きているイメージをして、記憶が定着している感じになれたのは、よかったかとw (気のせ…)

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