意義のある調査を
スラッシュドット ジャパンで興味深い記事が出ていました。
たしかに興味深い調査ではあるし、なるほどと思う面もあります。
けれども、私は違う視点からこの調査について考えてみました。ちょうど最近読んだ『統計数学を疑う』という本の興味深い記述が思考の発端です。
最近のシンクタンクがまとめるレポートをみると、政策提言の含まれたしっかりとした調査レポートの数が減る一方、「○○の経済効果」など、いったいこれのどこが世の中に貢献するのだろうと思ってしまうような、軽い内容の調査レポートばかりが増えてきている。
という問題です。そもそもシンクタンクの存在意義は”様々な経済事象・社会事象を客観的・中立的な立場にたって的確に分析した上、世の中に貢献するような政策提言を行うことだと考えている。”と述べられています。結果的に↓
金融機関はなぜコストセンターの調査部に主に官公庁からの包括受託を出すのか。それは、金融機関本体がこのシンクタンクの調査部を「広告塔」として位置づけているからに他ならない。
マスコミに親会社の名前を冠した調査レポートが取り上げられれば、広告宣伝費を使うことなく、親会社のブランド認知度を高めることができるからだ。その結果、マスコミに出ることが業務の最優先課題となる。
当然、レポートの質は犠牲にしても、情報の受け手やマスコミの関心をひくような、オモシロ・ネタを提供すればよいということになる。
ここまで引用すればお分かりと思いますが、ようはいかにマスコミに取り上げられるか、が最重要課題となってしまっているのが一部のシンクタンク調査部の現状のようです。
たしかに言いすぎな面もあるかもしれませんが、最近WEBで見る調査結果というのも微妙なものが多い気がします。
さて、ここからが本題ですが、本来リサーチとういものは調査結果だけを並び立てるだけではなく、そこから得られる提案なども含まれるべきだと私は考えています。
今回取り上げた「後方に座る学生は成績が悪い」も朝日新聞本来の記事を見ると、
とあり、後方に座ることと成績の悪いことの相関がわかっただけで、原因は明らかになっていません。結果、「へ~」で終わってしまっている気がするのです。
そこから考えを巡らせることはできても、学生が「じゃあ前に座るか」といった具体的なアクションにつながることはありません。そう、次のアクションや提案につながらないと調査の意味が無いと思うのです。
そういう点で日本の研究職も一部、宣伝のための調査を行う部分があるのかもしれません。完全にイメージですが、そういう業界って「いかに金を引っ張ってこれるか」に重きが置かれているような気さえします。
それって何か違うよね?と思ってしまう。けれどもそれが現実なんでしょうか。
以上から、最終的に私が言いたいのは、そういう機会がある方々にもっと意義のある調査をしてほしい、それがビジネス全体に良い影響を与えるはずだ、ということです。色々なプロジェクトに参加する中で、世の中で大事なのは調査能力だけではなく提案力だということをしみじみ感じますし。
友人の中にはマッキンゼーやGSといったいわゆる外資金融・コンサルを目指す人も多いとは思いますが、ここはもう提案の世界。提案で全てが決まるわけです。外資に関わらず提案力は必須です。
そこで、今からでも”意義のある調査”について考えてもらいたい。
そういう点で、以下の二つの本はオススメです。前者は統計学を交えて調査ビジネスの現実を、後者は相関と原因結果の違いを考えるのに良い本です。
光文社 (2006/10/17)
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書名はすこし変更した方がいい
統計について深く考えさせてくれる本
とてもためになる本
東洋経済新報社 (2007/04/27)
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ヤバい経済学の増補改訂版。感想としては前に出版されたものに大多数書いてあるけど、
って、結局書評かよ!って展開f^^;
【情報元】
» 後方に座る学生は成績が悪い»いもろぐ

![ヤバい経済学 [増補改訂版]](http://images-jp.amazon.com/images/P/4492313788.09.MZZZZZZZ.jpg)
読書:「統計数字を疑う」を疑う
統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? / 門倉貴史 / 光文社新書 (2006)
いろいろな統計数字の話題がでるかと思って読んだ。
最初は統計一…
「統計数字を疑う」
著者の実体験に裏打ちされた経済統計解説 統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?門倉 貴史 光文社 2006-10-17売り上げランキング : 3,94…